映像提示原理

RPTは以下に示すようなしくみで映像を提示しています. 図1のように,ハーフミラーを介して観察者の目と光学的に共役な位置に設置したプロジェクタによって, 映像を投影します. ディスプレイ面に再帰性反射材を塗布することで, 観察者は非常に鮮明な映像を見ることができます.


図1:RPTのしくみ

HMP(Head-mounted Projector)

当研究室では,RPT用の映像提示デバイスとして, 頭部搭載型プロジェクタ(HMP:Head-mounted Projector)の開発を行っています. ヘッドトラッキング技術と併用することにより, 観察者の視点に応じた映像を提示することが可能になります.


図2:HMP(Head-mounted Projector)

光学迷彩

光学迷彩とはその名の通り物体を光学的にカモフラージュするための技術です. 拡張現実感における一般的な映像提示技術は,現実空間にバーチャル空間の映像を重畳させるいわば映像の「加算」です. 逆に現実空間の物体を視覚的に透明化,すなわち映像の「減算」を可能とする「光学迷彩(Optical Camouflage)」技術を用いることにより実空間内で邪魔な物体を視覚的に消去することが可能となります.

光学迷彩は,遮蔽物体に再帰性反射材を貼付した上で, 事前にもしくは実時間で撮影した背景映像をHMPで投影することによって実現します. 背景映像をリアルタイムにカメラで撮影し投影するシステムを構築する場合, カメラ画像をそのままプロジェクタより投影した場合は映像が大きくずれてしまうことにります. よって本手法では背景の簡単なモデルを作成し, プロジェクタの位置での視点映像をIBR(Image-based Rendering) によりリアルタイムに生成しています.


図3:光学迷彩

乗り物への応用

再帰性投影技術を乗り物に応用することにより, 操作性や安全性を向上させる操縦者支援システムを提案しています. 自動車や飛行機などの乗り物において, 操縦者の死角となる乗り物外部の映像を, ドアや床といった内装部分に再帰性投影技術によって提示することで, 死角を減少させることができます.


図4:自動車の外側の映像を内装に投影した様子